「版」と「刷」の違い
2019/10/01
新聞広告などでよく見かける「重版出来」「重刷出来」。
何か違いがあるのでしょうか。
・版
その本が初めて世に出る時の版を「初版」と言います。
その後、修正や加筆などが生じた場合、次の版を「二版」と言います。
新事実が発見されて書き換えが必要になった場合や、語句の置き換えや表現の変更が必要となった場合、辞書・辞典で新しい項目を加える場合などに、新しい版となります。
さらに修正や加筆があれば「三版」、さらにあれば「四版」・・・と、変更があるたびに数字が増えていきます。これを「重版」と呼びます。
岩波書店の『広辞苑』が重版するとニュースになるのは、そのためです。「どんな語が増えたんだろう?」と皆さん、興味津津なんですね。
・刷
出版社は、その本がどれぐらい必要か予測して、何部印刷するか決めます。
3,000部売れそうだと思ったら3,000冊印刷します。これが「第一刷」です。
3,000部売り切れて、まだ売れそうなら、追加でまた印刷します。これが「第二刷」です。さらに追加されたら「第三刷」「第四刷」と増えていきます。これを「重刷」と呼びます。
ちなみに、「一刷」「二刷」は「いっさつ」「にさつ」ではなく、「いちずり」「にずり」と読むのが通(つう)です。「さつ」は「冊」と間違えやすいからだそうですよ。
初版 初めて世に出る時の内容です。
第一刷 最初に印刷されたもの
第二刷 売り切れたので追加で印刷されたもの
第三刷 追加2回目
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二版 初版に修正や加筆などを加えたものです。
一刷 最初に印刷されたもの
二刷 売り切れたので追加で印刷されたもの
三刷 追加2回目
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三版 二版に修正や加筆などを加えたものです。
一刷 最初に印刷されたもの
二刷 売り切れたので追加で印刷されたもの
三刷 追加2回目
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このように、「X版Y刷」と、奥付に記載されています。
亡くなった作家の場合、版は増えませんが、刷が重なっていきますので、新潮文庫の太宰治『人間失格』『斜陽』や、夏目漱石『こころ』『坊ちゃん』などは、刷がものすごい数字になっています。
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※出版社によっては「版」と「刷」の使い分けをせず、「重刷」のことを「重版」とうたって広告を載せることもあります。