自分史「おもしろい」「そうでもない」の分かれ目は?』
2023/06/08
人にはそれぞれ自分なりの歴史があります。近年、形にして残したいと考える人が増えていて、たくさんの自分史が自費出版されています。
また、若い世代の人たちも就職活動の一環として、自分の長所や短所、考え方などを見直すために、自分史を書くことが多くなりました。
数多ある自分史ですが、読み手が思わず引き込まれるような、「おもしろい」自分史にはどのような特徴があるでしょうか。
はじめは思いつくままにエピソードを書き出す
年代ごとに区切ってエピソードを並べる
自分史を書く際の一番オーソドックスな手順は、年代ごとに区切ってエピソードを並べていく方法です。
誕生から小学校入学まで、小中高時代、大学時代、社会人になってから。社会人になってからは、転職や昇進など仕事での節目と、結婚やマイホーム購入や子どもの誕生などプライベートでの節目をうまく配置していきます。
最初から「深いエピソードを書こう」と意気込むと、かえって何も思い浮かばないものです。
最初は、思い出したことはなんでもメモしていきます。付箋やカードを使って、1枚につき1エピソードを書き留めると、あとで時系列に沿って並べ替えるときに便利です。また、以前ご紹介した、音声メモで残すという方法も手軽です。
自分史に載せるエピソードを選ぶ
各年代のエピソードがだいたい出揃ったら、自分史に載せるエピソードを吟味していきます。
昇進や転居など、人生の節目や転機になったできごとは、必ず細かく書かないといけないかというと、決してそんなことはありません。筆者の生活のステージがいつ、どのように変わったか、読者が混乱しないようにある程度の説明は必要ですが、お断り程度の短文で済ませてもかまいません。
では、載せるエピソードはどのように選べばよいでしょうか。
選ぶ基準は、「心の動きが書き添えられるかどうか」です。
自分史に載せるエピソードを吟味する
生き方に影響があったエピソードはどれ?
メモに書き出したものは、自分史を書くにあたって思い出したエピソードばかりですから、どのエピソードにも「楽しかった」「嬉しかった」「残念だった」「悲しかった」等の感想は書けることでしょう。
自分史に載せるのは、さらにそこから一歩踏み込んで、自分自身の生き方や考え方にどのように影響があったかが書けるエピソードです。それこそが、あなたの人生の大きな節目なのです。
そういう意味では、進学や転職などの大きなイベントよりも、「初めて迷子になった日」「授業を抜け出して公園で日向ぼっこした日」「初めて有給休暇を取った日」などのほうが重要だったりすることもあります。
メモに書き出したエピソードを、じっくり見てみましょう。自分でも忘れていたような感情がよみがえるかもしれません。
おもしろい自分史になるポイントは
生き方や考え方の変化を、うまく言葉で表すのは難しいことです。コツは、そのできごとから「何を学んだか」を洗い出すことです。
「人間は一人じゃ生きていけないと悟った」「空の青さが時間によって変わることを知った」「がむしゃらに頑張るだけではなく、ときには肩の力を抜くことが必要だと知った」など、簡単でいいので、「気づき」を書き足していきます。
読者がおもしろいと感じる自分史になるかどうかの違いは、ここに出ます。その時の筆者の心の動きが、読者にも共感できるものであればあるほど、おもしろくなります。栄光の軌跡だけをたどるのでは、自慢話に終始しているような印象を与えかねません。
自分史を書くときは、エピソードだけでなく、それによって何を知ったのか、何を感じたのか、あなたの心の成長をぜひ書き加えてください。
こちらもご覧ください
【音声の文字起こしで自分史を書く「口述筆記」】
https://double.tokyo/column/detail/20230317150555/
【音声の文字起こしで自分史を書く】
https://double.tokyo/column/detail/20230509225705/