原稿を試し読みしてもらおう――「査読」
2023/05/08
原稿が書きあがったら、通しで読み返して内容などに不自然な点がないかチェックします。
自分だけでなく、信頼できる人にも読んでもらって、分かりにくい点を指摘してもらうと、より良い原稿になります。
著者本人は気付きにくい
当たり前のことこそ確認を
こんな点が見落としやすい
■自分は流れが分かっている
例1:登場人物が、最初はAという行動をとっていたのに、少しあとでBという行動に変化している。
→実は、行動Aのあとにあるできごとがあって、その人物は行動Bに転向するのですが、そのできごとを書き忘れているというパターンが多いものです。または、そのできごとについては書かれていても、「そのために彼は考え方を変えました」という因果関係が書かれていないことも。著者はその流れを知っているので矛盾に気付きませんが、読者には伝わらないこともあるのです。
■習慣になっている
例2:本の最初の方で「山田さん」として登場した友人が、途中で「高橋さん」と結婚して姓を変えたはずなのに、いつまでも「山田さん」として登場している。
→結婚前からの友人の場合、結婚改姓後も旧姓で呼び続けることは普通ですが、本に書く場合は「学生時代からの友人なので、結婚後も旧姓で呼び合っています」という一文があったほうが親切です。
「自分では当たり前だと思っていること」が、読者には意外なことだという場合もあるわけです。
そのため、どんなに注意して書いても、著者本人はこうした矛盾に気付きにくいのです。
身近な人に読んでもらう
メールで送れば緊張しない
書き終わった原稿は、自分で読み返してチェックするだけでなく、身近な人に読んでもらうと効果的です。大学などで卒業論文などを書いたことがある人は、提出前に「査読」に出した経験があるかもしれません。それと同じような感じです。
査読は、1人ではなく2人3人、複数の人に読んでもらうとより安心です。あまりに身近だと、著者と同様、事情が分かりすぎていて見落としがあるかもしれないからです。
とはいえ、自分が書いた文章を、目の前で人に読まれるのは、けっこう恥ずかしいものです。
そんなときは、メールで送ってみましょう。あらかじめ、
「今度、本を作ろうと思ってるんだけど、ちょっと原稿を見てほしい」
と断ってから、Wordファイルかテキストファイルで送ります。
これなら、相手の方は自分のタイミングで読めますし、著者も緊張しないで済みます。そして、
「読んでいて、よく分からない箇所があったら教えて」
とお願いします。
自分では思いもよらなかったハッとする指摘があったら、ありがたいですね。
査読者にはお礼に献本を
自分で気付いたところや、査読者から指摘があったところは、修正します。多くは、少し文章を書き加えたり、段落や章を入れ替えて文章の細かいところを手直ししたりすれば、解決できます。
無事に本が出たら、査読してくれた方には献本すると喜ばれます。
「ご指摘のおかげで、修正できて読みやすくなったと思います。ありがとうございます」
の一言もお忘れなく!
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