日本の印刷の歴史――木版が長い

日本の印刷の歴史――木版が長い

2018/05/01

 

日本最古の、そして世界最古の印刷物は、西暦770年の「百万塔陀羅尼経(ひゃくまんとう だらに)」ですが、その後、日本では書物の印刷が中断します。
そもそも字を読める人が少ないので、手書きで写す「写本」で十分だったからです。
200年ほどして、写経ならぬ「摺経(すりきょう)」が流行し、再び経文を印刷することが行なわれるようになりましたが、一般庶民にまで印刷物が行き渡るようになるのは、江戸時代になってからです。

 

「読み書きそろばん」という言葉に象徴されるように、識字率が急速に上がり、町民が娯楽として本に親しむようになりました。
絵入りの楽しい読み物、洒脱な文章が添えられている浮世絵、かわら版などが盛んに印刷されたのです。
これらは全て、印刷したい絵や文字を板に彫り、絵具をつけて紙を刷る、「木版印刷」で刷られていました。
子どもの頃、図工の時間などに、木の板を使って版画を彫ったことがある方が多いと思いますが、あれが「木版印刷」です。

 

一方、ハンコのように文字をひとつずつ彫った「活字」を並べて印刷する方法を「活版印刷」と言います。江戸期の直前に、この手法で刷られた本がありましたが、定着しませんでした。

 

漢字とひらがなとカタカナを組み合わせる日本の書物では、活字の種類がたくさん必要になること、人気の絵入り本を刷るには、一枚の板に絵と文字を同時に彫った方が手軽であること、文字をつなげて書く崩し字は活字では再現できないこと――などなど、活版印刷が定着しなかった理由はたくさんあるようです。

 

活版印刷が定着するのは明治に入ってからです。

ヨーロッパでは15世紀から活版印刷が主流になりましたが、日本では木版印刷の時代が長く続いたのでした。
美術館や博物館などには、驚くほど緻密で美しい当時の版木がたくさん保存されています。
手先が器用で細かい作業が得意な、日本ならではの発展だったと言えるかもしれませんね。

 

 

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