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読者の興味をグッとそそる、ほんの少しの工夫とは

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読者の興味をグッとそそる、ほんの少しの工夫とは

2023/09/08

文章を書くときには「読者にとっての分かりやすさ」を心がけることが大切ですが、不特定多数の読者を想定した文章と、読む人が決まっている文章では、書き方のコツも少し違います。
身近な人が読むことを想定した自分史では、あるコツをおさえることで、読者の興味をグッとそそることができます。
 

固有名詞をちゃんと出す

「父」より「父・三郎」

まずは、以下の2つの例文を読んでみてください。

1.
 私は、1946年9月16日に長野県須坂市で生まれた。戦争中、父と母は満州にいた。母は、引き揚げ船の中で私を身ごもっていることに気づいたそうだ。母の長姉が産婆だったので、私を取り上げたのはこの伯母である。
 同じ年、父方の叔母も出産したので、私には同い年のいとこがいる。私たちは、時には兄弟のように、時には親友のように、いつも一緒だった。

2.
 私は、1946年9月16日に長野県須坂市で、母・サカエと父・三郎の間に生まれた。戦争中、父と母は満州にいた。母は、引き揚げ船の中で私を身ごもっていることに気づいたそうだ。母の長姉・タキエが産婆だったので、私を取り上げたのはこの伯母である。
 同じ年、父方の叔母・幸子も出産したので、私には同い年のいとこ・昭夫がいる。私と昭夫は、時には兄弟のように、時には親友のように、いつも一緒だった。
 

一般的な読みやすさより、読者サービスを優先

上記の1も2も、正直なところ知らない人の名前ですので、違いがよく分からない、あるいは2のほうが「登場人物が多すぎて読むのが大変」と感じたと思います。
しかし、これが全部、自分の知っている人だったらどうでしょうか。知っている人の名前を活字で見ると、うれしくなるものです。

自分史には、家族や親戚、友人や同僚など、あなたを取り巻くたくさんの人々が登場します。この人たちは、あなたの自分史の読者にもなってくれることでしょう。
ですので、その人たちについて描写する時、「父」「母」「姉」「いとこ」「同僚」ではなく、固有名詞をきちんと書くことは、読者に喜んでもらうことにもなるのです。
登場人物のなかには、もう亡くなった方もいるかもしれません。だけど、あなたの自分史の読者は、その方たちを知っています。あなたの書いた本で、なつかしいお名前を見たら、喜ぶことでしょう。
 

あなたの書いた本で読者が喜ぶ 

改称があった場合は旧称も書く

自分史は、何千部・何万部も売るような本ではなく、ご自身の記録や記念として書く本です。一般的な読みやすさよりも、読者が喜んでくれるようなちょっとしたサービスを織り込むことを優先したほうが良い場合もあります。
不特定多数の読者を想定した文章では、登場人物が増えすぎることを控えたほうが良いことも多いですが、自分史ではまったく逆になるのですね。

結婚などで改姓した人の場合は、旧姓も書くと喜ばれます。
また、学校名や地名など、統廃合や合併で名前が変わっている場合は、当時の名称に(  )をつけて、「大宮市(現・さいたま市)」のように表記します。
 

固有名詞は確認が大事 

最後に、固有名詞を書く時の注意点を少し。
・名前を出して良いかどうか、原稿を書く前にできる限り確認を取りましょう
・身内は敬称略で良いですが、友人や同僚は敬称をつけた方がよいでしょう。その場合、「女性は『さん』、男性は『君』にする」「性別問わず『さん』をつける」など、ご自分のルールを決めて統一してください
・誤字や誤変換がないか、校正はしっかりやりましょう


こちらもご覧ください
【自分史「おもしろい」「そうでもない」の分かれ目は?】
https://double.tokyo/column/detail/20230608131519/
【校正 基本のキ】
https://double.tokyo/column/detail/20200811110157/
【JIBUN出版を配るときの挨拶文】
https://double.tokyo/column/detail/20211116161408/
 

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