自分史制作に便利な「京大式カード」
2024/09/02
自分史を書きたいけれど、誕生から年代順に書いているといつ完成するか分からなくて気が遠くなる……
あれも書きたい、これも書きたいと思っているうちに、内容がまとまらなくなってくる……
そんな時に便利なのが「京大式カード」です。
京大式カードとは? どう使うの?
京都大学の教授が考案
「京大式カード」とは、民俗学者で京都大学名誉教授だった梅棹忠夫(うめさお・ただお、1920年―2010年)さんが考案した、論文執筆の際に便利なカードです。
B6サイズで罫線の色は薄く、間隔は太め。穴が2つ空いているものもあり、ファイルすることもできます。
情報カード自体は、もっと前から研究者たちの間で使われていたそうですが、現在の形にまで洗練させたのが梅棹教授。京都大学の学者たちの間で広まり、次第に一般にまで使われるようになりました。その結果、梅棹教授は、ほかの学者から「このカード、使いやすいよ」と勧められたこともあるそう。このあたりのお話は、教授の著書『知的生産の技術』(岩波新書)にユーモアたっぷりに書かれています。
使い方
ひとつの項目につき1枚を使います。
タイトルや日付を書けるようになっていますが、カードに何を書くかは使う人の自由。自分史制作に利用する場合は、
「誕生について」
「一番古い記憶」
「父との思い出」
「母との思い出」
「卒業式でのハプニング」
「初めての引っ越し」
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と、まず1枚ずつに書きたいことのタイトルを書いていきます。思いつくままに、年代はランダムでOK。
だいたい出そろったら、カード1枚におさまる程度の短文で、書きたいことをざっくり書いていきます。この段階では、箇条書きで大丈夫です。
書いているうちに、次々と違うことを思い出していくので、それも新しいカードにどんどん書いていきます。逆に、やっぱり書くほどのことでもないなと思い直す項目もあるかも。そういう時は、潔く破棄します。
年代にとらわれず、思い出した順に好きに書いていけるのがカードの良いところです。
自分史制作にとても便利
カードは並べ替えできる
思い出すままに書きだしたカードが何枚かたまったら、並べ替えたり、グループ分けしたりしてみましょう。
一番オーソドックスなのは年代順に並べることです。しかし、年代にこだわらずに「友情」「恋愛」「趣味」「仕事」など、テーマごとに分けてみると、新たな発見があるかもしれません。
そうすると、また新しいカードが追加されることもあるでしょう。そうしてだんだん、枚数も増えていきます。
書きためたカードを、トランプや百人一首のようにずらりと並べて見ているうちに、自分史のメインテーマを何にするかひらめいたり、章立てのアイデアが湧いたりするのでは。
このようにカードは、ノートに書いたり、パソコンで書いたりするのとは違って、簡単に並べ替えたり分類したりできるうえ、全体を一目で見渡すことができるので、自分史制作にとても便利なものなのです。
パーツがひとつになっていく
カードを並べ替えたり分類したりして、自分史のメインテーマと章立てが決まったら、カードにざっくりまとめた短文や箇条書きにした項目を原稿にしていきます。
カードの並べ方によっては、補足説明などが必要になる場合もあるかもしれません。バラバラだったパーツがひとつにまとまっていく過程は、ワクワクするものがあります。本全体の整合性がとれるよう、気を付けてください。
書き終わったら、信頼できる人に「査読」してもらうと、より良い原稿になるでしょう。
こちらもご覧ください
【原稿を試し読みしてもらおう――「査読」】
https://double.tokyo/column/detail/20230509232252/