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文庫本の「天」はなぜデコボコ?しおり紐との意外な関係

文庫本の「天」はなぜデコボコ?しおり紐との意外な関係

文庫本の「天」はなぜデコボコ?しおり紐との意外な関係

2018/10/01

 

お手元の、上製本と文庫本を立てて並べてみてください。
上の切り口を「天」と呼びますが、上製本はピシッときれいに切りそろえられているのに対し、文庫本は紙を裁断した際に生じる微妙なズレがそのままになっていて、デコボコしていませんか。
本好きなら一度は「あれっ」と思ったことがあるはず。「天もきれいにカットされている本と、カットしないで不揃いなままになっている本がある」

 

ハードカバーの上製本は、本文の印刷が終わったら、表紙と合体させる前に、仕上げ寸法に合わせてきれいにカットします。「化粧断ち」と言います。その後、表紙と合体させます。
並製本や文庫本は、表紙の紙で本文をくるんでから、表紙と本文を同時に化粧断ちします。

 

天の化粧断ちは、しおり紐をつける工程に深く関係しています。
上製本の場合、しおり紐は、本文と表紙を合体させる際に、背表紙や花ぎれに挟みこんで取りつけます。つまり、しおり紐をつけるのは、「本文を化粧断ちしたあと」なんですね。だから天もきれいに化粧断ちできています。
並製本や文庫本の場合、本文と表紙の間にしおり紐をつけてから化粧断ちするので、しおり紐がある天はカットすることができないのです。だから天は不揃いでデコボコのままです。

 

さて、ここで不思議なのが、「しおり紐をつけたら天がカットできない――というのは分かるけれど、しおり紐がついていないのに天のカットもしていない本がある」ということ。

 

日本で初めて「文庫本」を作ったのは岩波書店で、当初はハードカバーと同じようにしおり紐をつけていました。多くの他社もそれにならいました。
しかし徐々に、作業工程やコストの面から、紐を廃して挟み込みの紙製しおりをつけることが主流となっていきます。そして紐は廃止されたものの、「天はカットしない」という方針は残ったようです。

 

岩波文庫の紙製しおりに書かれた文章も楽しみのひとつというかたも多いと思います。
一方、しおり紐の色や形状も、上製本の楽しさのひとつですね。
本の内容や、表紙のデザインにぴったり合った色や織りの紐がついていると、読書の楽しさもひとしおです。あの手触りが好きで、読みながら無意識にしおり紐を指でなでている――というかたもいるのでは。

 

ダブルでは、多種多様なしおり紐をご用意しております。
じっくり選んで、あなたの本にぴったりの「色」と「織り」を見つけてください。

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